聴こえてくるのはヒグラシとカエルの声と、水路を流れる冷たい水の音。かすかに焚き火の匂い
今日は月夜なので昆虫の飛翔は少ないとわかっていたが、恒例のポイントで高原の涼しい風に吹かれているだけでも気持ち良い。走り抜ける車の数も減り、人間の営みが暮れていくと昆虫王国の扉が開く。例年はキツネやコウモリなどがライバルとなるが、今年はライバルもなく幸先よくノコギリクワガタのオス。そしてカブトムシの大きなメスが次々と飛来する。
堂々と歩く姿が魅力
ワクワクするロケーション
ただ座って高原の風に吹かれているだけで昆虫王国の扉を入っていける
昨年のカブトムシが生んだ卵は大きなオスが圧倒的に多く、故郷に帰してあげることも大きな目的。その中で立派な角で元気の良いのを2匹だけ手元に残して20匹以上のオスとメスを、人間の僕も匂いを嗅いだだけでフラフラと酔っ払ってしまいそうな樹液が出ている大きなクヌギの木に戻して来た。
大きく太い羽音が僕を旋回するように聞こえる
こんな感じでこの地に15年ぐらい足を運んでいるが、開発のため地形が変化している。家が増えたり道が増えたり。この写真は2006年の7月に八ヶ岳の麓のある交差点でカブトムシがアラレのように降ってきた時の写真。こんな経験はこの時だけだが、いつかまたこんな経験をしたく昆虫王国が安泰であってほしいと願う。
2006年7月の夜の交差点
今年のカブトムシがたくさんの卵を生んでくれて、来年もこうして故郷に帰してやれたらと思いつつ、明け方の中央高速を湘南に向けて走り始めた。