しかし、少しずつだが気候変動の真っ只中にいる事を実感する季節にもなって来た。
生物多様性の保全を考えると、クローンであるソメイヨシノを日本各地に植樹すると、日常ではなかなか見えてこないが生態系の乱れを懸念する、という正論もある。
ただ、僕は日本の風物詩として暮らしに溶け込み、多くの人の郷土愛に響く桜前線を描いてくれる、この植物を肯定的に考えたいなと思ってきた。
ここ数年、ソメイヨシノが観察研究対象となり日本における気候変動の象徴的な存在にもなってきている。クローンであるがゆえの役割でもあり、日本人の心の拠り所だから社会実験としても意義深い。
今年、早々に開花宣言があった東京は、しばらく冷え込んで満開が遅れ気味。長期的に考えると気候変動は不安だが、今年だけの事を考えれば長く桜が楽しめそうだ。一方で、鹿児島では温暖化の影響で咲き揃わない可能性があるらしい。
九州大学が桜前線で気候変動のシミュレーションをしている。
その結果が一部公開されているが、2100年には、北九州から関東までが同時期で咲き始め、東北への北上と南九州への南下と言うのが、前線の動きとなるらしい。
暖冬の影響で休眠打破が遅くなったり、種子島や八丈島あたりの南限が北上して南九州も咲かなくなってしまう可能性もあるらしい。
10年ほど前、地球温暖化防止国民運動の仕事で、地方テレビ局やラジオ局の皆さんと企画を繰り出したが、北極のシロクマの危機だけでなく、地元の農作物の危機でもあると説明していた頃が懐かしい。
故郷を離れている時間が長くなると、故郷の桜の開花が気になって仕方がない。ますますそんな気持ちが強くなっている。
「LINEで桜の写真を送るから、あんたもLINEやって」