2014年02月25日

第6回つなぐ人フォーラム

大雪・雪害の影響で、開催の可否を実行委員のメーリングリストで直前までやり取りが続きましたが、中央高速の開通、JR中央線特急の運行再開、小海線の復旧、そして何よりKEEP協会の事務局の方々の懸命の除雪のおかげで「つなぐ人フォーラム」が2月22日(土)から24日(月)まで開催の運びとなりました。

多数のキャンセルを覚悟しましたが、参加者は北海道から沖縄まで全国各ブロッグからくまなく約150名が集まりました。事務局の皆さん、そして参加者の皆さんに感謝です。昨年から実行委員がゲストを3名以上お誘いするというスタイルにしたからか、自ら何らかの活動をする多彩な人たちが集まるようになった印象が強かったのですが、今年はますますその傾向が強くなった印象です。


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雪化粧の甲府盆地


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小淵沢駅


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雪に埋まるかのような清里駅


まずは初日の全体会で、昨年、逝去された実行委員長の小林毅さんと実行委員の渡辺保史さんのお話。グッときました。これは3日間の全体を通してなのですが、事務局長の川嶋直さんの軽妙な進行や仕切りはいつもながら学びが多いのです。さて、全体会のあとは、4つのコーナーにわかれて10分プレゼン。よって僕は32名のうち8名の話を聞き、自分もプレゼンをしました。

山本智子さん「津波がくれたつなぐこと」 日本語教師の視点から静かに語っていましたが大きなエネルギーを感じます。山林を何とかしたいというお話に反応しいろいろ情報共有をし始めました。林業施業、森林セラピー、環境教育など、事業、コンテンツ、多様な可能性を感じます。できるだけ俯瞰して自身が取り組みたい方向性を決めてもらえたらと思います。

河上直美さん「やさしくて新しい暮らし岡山から」 女性ならではの視点で自然共生社会で地域経済循環する仕組みづくりを目指す活動でした。2日目の夜に声をかけてもらって、ESDの10年のその後を2人でディスカッション。ハードとソフトのレガシーをいかに岡山に残すかという話で盛り上がりました。これは関わりたいな〜。

五味愛美さん「婚活イベントはエコツアーだ」元気溌剌でチャーミングな五味さんは、いつしか婚活イベントを仕切っていました。3日目のワークショップはバツイチでも参加できますかと聞いたら、婚活はバツイチさん多いんですよっ。とのお返事。うう、月曜に会社で会議さえなければ参加したかった!

古屋絢子さん「日本と世界をつなぐ人通訳ガイド」本来の自然共生、生活文化を都市生活にインタープリテーションする面々の中に、通訳の方が居るというのが素敵。日本語の持つ精神性を翻訳して、日本の本質を英語で発信して欲しと思っていたら、2日目の深夜にお話する機会ができました。古屋さんがNHKの旅番組のスペシャリストである石塚忠宏さんと組んで、海外の方を日本でもてなす企画を考えていたところに声をかけてもらってアイデアフラッシュ。とても可能性を感じるお話ができて幸せです。

浅子智昭さん「ホールアースの狩猟の取組み」何と鹿肉の試食つきのプレゼンです。自然学校に狩猟という言葉が重なっただけで、自然保全と営みが一体となってイメージできました。命の連鎖を人間の営みの中でコントロールする行為は、血と死を抜きに考えられないのです。日本独自の環境教育を改めて議論するタイミングにきているように感じました。

後藤清史さん「環境人材」自然の楽しさや危険を伝えても、それを社会とつないで考える事ができていないのが環境教育。社会課題と捉えて解決につなげて行動できる人を環境人材と表現。まさにESDだと感じます。こちらが後藤さんと組みたい!と前のめりになる意識をお持ちです。

朝倉民枝さん「ipadで伝えるを創る」ずいぶん早くからデバイスを意識してデジタルコンテンツに力を入れて来た素敵な活動です。やはり女性視点で教育を考えるのは重要です。大人になってからデジタルに染まった僕たちと、生まれた時からデジタルに囲まれるのとでは、全く違う人類だと思っていますので朝倉さんのアクションは大切ですね。

林浩二さん「博物館とヘリテイジを考える」博物館の魅力づくり、アーカイブなのかコンテンポラリーなのか、林さんの創発し続ける博物館として新鮮な魅力を期待したいし、やはり一緒に出来る事を考えたいと思いながらお話を聞いていました。3人部屋で同室だったのですが、僕はとっても深い時間に部屋に戻ったので部屋トークはできず、もう一人同室だった山中湖情報創造館の丸山高弘さんともアーカイブについて対話したかったのですが、きっと3人でイビキトークの部屋だったと思います。

さてさて、10分プレゼンだけで頭は飽和状態。感性が揺さぶられ、何かをしたいという衝動に突き上げられ大変です。そこへ、つなぐ人の目的のひとつである清泉寮のご飯。気がついたら食べ過ぎるほど美味。すっかりお腹いっぱいになっているはずなのに、これでもかと出てくるデザートをさらに食べ過ぎる事になります。

その食卓では、日本科学未来館の大崎章弘さんご夫妻と一緒でした。未来館の今後の方針を聞いて、業務での連携を創造。銅版画作家の奥様は徹底した表現者としての話に刺激をいただきました。今年は日本科学未来館の3名の方とお話しました。実行委員の寺田雅美さんにお会いして、僕がこの施設の可能性をあまり理解出来ていなかった事に気づいたのですが、科学コミュニケーターという肩書きの可能性をますます感じた夜でした。

頭の中もお腹の中も、もうこれ以上入らない状態で夜の懇親会。今回初参加の方が多いので各テーブルに実行委員がついて自己紹介からスタートする仕切りになり、その流れからテーブルファシリテーターとなって、例年以上に多くの人と次につながる会話をしました。

印象深いのは、お互い初参加、しかも同じ札幌からという女性。一人は環境プラザという場所を持ち、一人は医療機関でコミュニティの再生装置になりたいという想い。これは「つなぐ人」の本領発揮しかありませんでした。テーブルの皆さんと議論を深めて共有。その勢いで談話スペースでは、原裕さんから声をかけてもらって日本流CSV談義が止まらず夜は深まっていきました。


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暖炉の火が香ばしい


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初日の際限ない出会いと会話の積み重ねで、何時間睡眠取れたのか不明のまま7時半の朝食。ここのフレンチトーストがお気に入り。朝からお腹パンパンです。さて今日は45分プログラム。「つなぐ人フォーラム」のメインコンテンツでもあります。6会場に午前3コマ、午後4コマで全37コマ。どのプログラムに参加するか、興味津々なコンテンツが目白押しで迷いに迷いますが、僕は当然ながらゲストのプログラムに参加です。ゲスト以外では田井中さん、西村仁志さん、そして昨年逝去された渡辺保史さんの遺志を継ぐ北海道の3人組さんのプログラムに参加しました。

同業者であり、復興支援でも一緒に動いて、時々貴重な情報共有してくださる田井中慎さんの「外部専門家をつなぐ」。このプログラムでは、改めてこのような場で広告会社の関わり方を考える事になりました。僕はもっと素直にストレートに会社の事を話しても良いな、会社の立場で来ても良いな、そのように感じる内容。時代なのか「つなぐ人フォーラム」の積み重ねなのか、企業としての立場や関わり方が以前よりもフラットになってきたのではと、変化を感じました。今回の協賛社のひとつに読広が入っていて、社員も数名参加していました。中井香里さんと話しましたが、僕の本業と平行するCEPAジャパンの活動に興味を持ってくれていて、やはり会社の立場でソーシャルアクションを仕掛ける話ができる土壌が温まってきています。

そして興味津々で参加したのは、西村仁志さん和代さんご夫妻のプログラム。「自分ごと×社会ごと=しごと、ソーシャルイノベーション、コミュニティの拠点づくり」は、「自分ごと」×「社会ごと」=「しごと」という公式の提案でした。これはグッときます。たぶん、この場にきた全員のキーワードでもあるのではと思いますが、僕が考えるソーシャルアクションはこの公式抜きには考えられません。このフレーズの使用は西村さんの了解をいただいてきました!そして「ソーシャル・イノベーション」の追求。西村さんは同い年。出会いは数年前で、いろんなイベントで時々しか合えないのですが、その行動に共感しています。同じ関西人でもあり、とっても深い親近感を、僕は一方的に抱いている人物です。

金森晶作さん、古川泰人さん、須子善彦さんの「自分たち事をつないでいくために、個人と社会をつなぐデザイン」では、北海道の三人組さんの中で金森晶作さんはFacebookでいつの間にか友達になっていて、身近な存在になっていました。渡辺保史さんの遺志を継いでいるとは知らなかったので会場に足を運びました。渡辺さんの口癖だった「自分ごと」を「自分達ごと」にするためには方法が全く違う。を思い出しました。渡辺さんとはそんなに会話できなかったのですが、このキーワードで声をかけてもらえていて、何か一緒に出来る事があると良いなと言ってもらえていた事を思い出し、センチメンタルな気持ちなってしまいました。

さて僕のゲストの皆さんについてです。

「小岩秀太郎さん・郷土芸能とコミュニティの再生」
初参加の小岩さんは、昨年のTEDxTohokuで出会った鹿踊りの郷土芸能の伝承者です。何と衣装を持ってきて実演しながらのプログラム。郷土芸能の危機、継承する人材、踊り手、道具などの作り手、そして芸能を守る地域コミュニティ。全国に3000あると言われている郷土芸能。その道具はみな京都で制作されつつある。つまり地域の個性はいつか京都制作の画一的なものになってしまうかも知れない。人間力の低下というか、昔はみな百姓で、土地を耕し、工芸を創作し、山を維持した。そんな魅力的な人間に溢れた日本列島が、過去のものになりつつある。少なくとも僕には出来ない。様々な危機感から地域個性を守るために、郷土芸能によるコミュニティの再生の図式が浮かんできます。つなぐ人フォーラムには珍しいスタイルですが、つなぐ人フォーラムらしい形態である事を実感です。会場の皆さんと交感できているのがヒシヒシと伝わる空気感が部屋を包み込みました。忙しい中を来てもらえて本当に良かったとホッとした次第です。


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小岩秀太郎さん


「平井俊旭さん・海外からみた日本のコンテンツ」
やはり初参加の平井さんはSoup Stok Tokyoのプロデューサー。様々な店舗のコンセプトを作り実際の素材の買い付けまで目を光らせて素敵なお店を作っています。その平井さん、WEBで日本の食文化を世界に発信して、外の評価によって日本人に気付かせたいと考えるに至った話。これは成田空港に到着した外国人グループが、日本人が知らない地名を目指していた事が判った。この土地になにがあるかと問うと、「忍者」と応えたそうです。この図式を実現しようというもの。このコンテンツ構築のために、多くの人とのコラボをこのつなぐ人フォーラムを活用してもらえたら最高だと思っていたら、いろんな人たちと共有が進みとっても盛り上がっていて、すでにコンテンツが浮かび上がりつつあるようです。


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平井俊旭さん


「宮本武典さん・新しい芸術祭×地域」
東北芸術工科大学の准教授の宮本さんは、山形から突貫スケジュールで2度目の参加。昨年のつなぐ人で僕のCSR3.0プログラムに参加してくださって、その内容に興味を持っていただきTEDxTohokuのスピーカーに推薦してくださったのでした。その宮本さん、最近の地方で開催される芸術祭が、地域に根差したものになっていないという現状を見て、本当の地域で開催する芸術祭を自ら興したいと考えたお話。とほうもないエネルギーです。しかし地域興しにアートは、現代の表現センスで地域を表現することは、伝承でありコンテンポラリーであり、博物館にアーカイブするのではない、地方の伝承を観せる場づくりだと感じ入りました。山形ビエンナーレに何らかの形で関わっていきたいな。


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宮本武典さん


「上田壮一さん・妄想アースコミュニケーションセンター」
これは上田さんと僕の2人で実施しました。おかげさまで、予想を遥かに越えるそうそうたる方々に参加いただき、とっても楽しく充実した内容になりました。これは上田さんと会うたびに妄想を繰り返していることを、参加者皆さんにも妄想してもらおうというもの。ソーシャルアクションを繰り出し続けているけど、そんなこんなを学んだり伝えたり体験できたり創発したり、、、教室、宿泊、食事、森、川、里、海、都市、宇宙!なんでも揃った場所を創りたいという話です。「つなぐ人フォーラム」に集まる皆さんと一緒に創りたいなと妄想を重ねています。


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アースコミュニケーションセンターを
グループディスカッションで妄想する皆さん!


さあ、このような状態で夜ご飯は、ますますもりもりと美味しいのです。やはりデザートまで食べ過ぎの贅沢な時間。しかも今日は、三重県から参加の実行委員である南良知耶さんがつないでくれた池山敦さんと日本流CSV談義が止まらなくなってしまいました。神戸から参加の浅見雅之さんともご一緒に。その後の懇親会では恵泉女学園大学で教鞭をとる松村正治さんとサステナビリティ談義。小休止のごとくエプソン牧田優理さんが仕掛ける「ゆらぎの空間」へ吸い込まれるように入り、暗がりでゆる〜い良い空間と良い時間を満喫。その後も談話コーナーで延々と対話。一人でも多くの人と、ひとつでも多くのアクションを、そんな吸収したいという本能のようなものが働くのか、眠るのがもったいないという感覚でした。


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清泉寮から先は通行止めでした


そして、3日目の朝食後、後ろ髪をひかれながら8時半に清泉寮をあとにしました。

何とか記憶の彼方に行ってしまう前に駆け足で文字にしましたが、今年の「つなぐ人フォーラム」のすごさは、事業を考える人、本質を語り行動している人が増えたからではないかと実感しています。これまでの環境教育関係者、美術館博物館関係者に芸術、文化、医療などの事業で地域興しをしたい人を掛け合わせる事で、例えば新規事業で本当に動くには足りなかったピースが見つかったような感覚。

僕にとっては、日本流CSVを具体的に実施できる材料となる会話だらけでした。本当はCSVという言葉に否定的というか、そもそも日本文化の中に根ざしているものだと感じています。その確信は渋沢栄一の「道徳経済合一説」の存在です。明治維新後に渋沢栄一は新たな社会を作り上げるために多くの企業を創業させていきましたが、1916年(大正5年)に著した「論語と算盤」の中で、「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。」という「道徳経済合一説」を打ち出しています。つまり100年前に純粋な日本語でCSVやサステナビリティを語っています。こういう言葉が生まれる日本に誇りを持ちたいなと思っています。

ですから、外来語CSVの誤解を理解した上で日本流CSVを楽しむ。日本人である自分の中に育まれた道徳感と倫理観で、企業人として果たすべき責任という言い方ではなく、果たせる責任と言いたい。その可能性を追求する。個人ではとても果たしきれないスケールのソーシャルアクションができるというワクワク感。それも本業で収益性を追い求めながら果たす。楽しくなければサステナブルではない。未来を創発することもできない。

ここ清里・清泉寮で開催された「つなぐ人フォーラム」は、ひとつの切り口で言えば、日本流CSVを共有する場であり、日本流CSVを創発できる人が集まる場でもあったと思います。もちろんCSVという言葉を知っていても知らなくても、そして口にするまでもなく、ここに集う人の行動そのものが、かなりというか相当に乱暴な言い方ですが日本流CSVであるという事です。日本人であることの誇り、日本語の文化継承、地域の個性、郷土芸能の地域内での完結した伝承、医療でコミュニティの再構築、芸術祭で地域デザイン、自分ごと×社会ごと=しごと。毎日「つなぐ人フォーラム」が開催されているような場所を創りたい。これまでにない収穫を得る事ができました。

※「CSV(Creating Shared Value)」社会で共有できる価値の創出

第2回から実行委員をしていますが、ここでの出会い、つながりが、僕の新たな行動を創ってきてくれていました。今年も予感があります。それは、きっと僕も日々の進歩が見えないながらも歩んでいて何か気づきがあり、この場での多くの人との交流の中で受けた刺激によって、言葉にならない気づきが化学反応を起こして、ひとつの「解」や「確信」にあっさり届くのかも知れません。それは、2月の清里の凛とした空気感と、清泉寮の空間のチカラに集まる人たちの波長がリンクして、発想のチカラが引き出されるように感じています。

それと、Facebookの存在も欠かせませんでした。参加ゲストの皆さんをメッセージでグループにして事前から情報共有してみました。開催前に自己紹介を済ませて、清里では会うだけで共感モード。初参加の人も充分に満喫してもらえたようです。すると解散後にありがとうメールと一緒に、こんな人とつながってこんな動きになってきたとコメントがあれば、それに乗っかるアイデアが書かれたり、企画の上に妄想を乗せて企画が膨らんだり、、、清里の空気感がFacebookに余韻として残り続け、新鮮なアイデア創発の場になったまま書き込みが続いています。

ここに書ききれなかった方、ごめんなさい!しかし気がついたらとんでもない長文になってしまいました〜。お付き合いいただき感謝です。ここまで付き合ってくださったという事は、「つなぐ人フォーラム」のバーチャル参加者ですね!さあ、一緒に妄想しましょう。そして想いをカタチにしていきましょう。来年は清里でご一緒しましょう!


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帰路の清里駅より


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小海線



posted by 川廷昌弘 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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