「第2回生物多様性全国ミーティング」です。主催は環境省、国連生物多様性の10年日本委員会、共催は横浜市環境創造局。午前中には「生物多様性自治体ネットワーク定期総会」も開催され、次の開催地が兵庫県豊岡市で決定されました。ちなみに第1回の開催地は名古屋市でした。
生物多様性に熱心に取組む自治体は、愛知県、名古屋市、石川県、金沢市、兵庫県豊岡市、新潟県佐渡市、、、そんなイメージが定着しているように思います。しかし、首都圏の自治体でも千葉県は堂本暁子知事時代の2008年に「生物多様性ちば県戦略」を策定していましたし、ここ横浜市も「ヨコハマbプラン」と称して生物多様性の地域戦略を昨年度策定。内容も次世代の子ども達を主役に考え、市民と企業の行動力を考慮したもので、とても幅広い視点でまとめられているものです。にも関わらず、近年では首都圏の中の自治体での全国規模のイベントがなかったように思いますので、昨年の秋に、横浜市環境創造局で講演する機会をいただきましたので、その壇上から全国ミーティングの開催を中心とした生物多様性の大型イベント、「ヨコハマbフェスティバル」のアイデアを皆さんに提案しました。
それから1年、このような形で実施に至ったのは、横浜市環境創造局の皆さんの気持ちと行動力の賜物だと思っています。そして「ヨコハマbフェスティバル」が盛況に実施されているのは、横浜市内の多くの市民団体の協力の賜物でもあります。横浜市環境創造局が事務局となった、「ヨコハマbアップ会議」と名付けられた市内の中間支援組織的な団体で構成された会議体が推進役となって、先週開催された「ヨコハマbデイ2012」の開催も支えていただきました。このプラットフォームを構成したアイデアが、今回の成功の秘訣だったのかも知れません。
これから2020年まで毎秋どこかの自治体で、全国ミーティングを効果的に開催するための多くのヒントやアイデアがここ横浜で蓄積されたように思います。これを、「ヨコハマbモデル」として全国の自治体の担当者の方々と共有を深める事もまた、「生物多様性の主流化」の施策の一つであると思います。その共有は「生物多様性自治体ネットワーク」の座組みの中で行ってもらえたらと思いますので、国連生物多様性の10年日本委員会の企画チームの一員として、そして一般社団法人CEPAジャパンとして、横浜市環境創造局の皆さんとこのノウハウを取りまとめてみたいと考えています。
この全国ミーティングが開催された「はまぎんホール」から、ランドマークタワーを抜けてクイーンズスクエアに行くと、横浜市が開催する「ヨコハマ環境行動フェスタ2012」が開催されています。僕はこのイベントがとても良いと思っているのですが、それは都市の消費行動のルツボで、生物多様性について情報発信しようとしているところが素敵だと思うからです。「いのちのつながり」の実感から遠ざかる都市生活。ライフスタイルのシフトの必要性を訴えるなら、これ以上の場所があるでしょうか。課題は、お店の協力や、買物に来た人の足を止めたり気持ちを向かわせたりする工夫。昨年初めて関わってアイデアを相談しましたが、実現できていない事が多く、まだまだ工夫が必要なのですが、今年も開催した事の意義は大きいと思います。
さて、全国ミーティング、まず開会挨拶。
中島正純環境大臣政務官の挨拶に続き、涌井史郎日本委員会委員長代理が、挨拶の中でお話された「生物多様性とは、人間が生きものであり続けるための考え」という表現に共鳴します。涌井先生は、CEPAジャパンのアドバイザーにもなっていただいていますが、委員会や運営部会など、多くの会議でご一緒して様々な表現を共有させていただき、その言葉の作り方に学ぶ事が多く、常に意識をしてきましたが、今日も喰らったなあと思った表現でした。
そして林文子横浜市長からは、山、里山、川、海、第一次産業、市民と企業の行動力による生物多様性の取組みの推進に関するお話があり、最後にご自宅のミニ・ビオトープを楽しそうに話されていたのが印象的でした。
次は式典。
キャラクター応援団の共同宣言式です。今日は横浜市水環境キャラクター「だいちゃん」が任命されましたが、これは企画チームとして提案したものですが、狙いは「生物多様性地域戦略」策定の推進です。自治体には多様なキャラクターがいますが、基本は郷土愛に基づくものだと思います。生物多様性は地域の郷土愛を考える事にもなり、その表明の証しとして自治体のキャラクターが活動する事で、生物多様性を難しく考える事なく、県民、市民に浸透させるきっかけにできないだろうかと考えたものでした。環境省の皆さんがずいぶん入れ込んでくださっているのですが、この狙いを忘れずに推進できたらと思います。
そして「生物多様性リーダー」任命式。今日は絵本作家の真珠まりこさん。真珠さんは「もったないばあさん」を環境メッセンジャーとして多くの事柄を判りやすく伝え、まさにCEPA活動の象徴のようなアクションです。素敵なリーダーがお一人増えて良かったと思います。このリーダーにも狙いがもちろんあります。2020年目標である「愛知ターゲット」の20の目標のいずれかを推進する「ターゲットリーダー」が本来の提案の趣旨でした。ですので闇雲に著名人をリーダーにするものにしてはいけないと思っています。この想いを忘れずに推進できたらと思います。
最後に感謝状の授与式は積水樹脂株式会社さん。2010年の生物多様性年から委員会への寄付を続けて頂いており、委員会運営を大きく支えてくださっています。今日も可能な範囲で支援を続けていきたいと言っていただけました。感謝しかありません。
さてこの後は様々な発表です。
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発表
1、UNDB-Jの活動状況と生物多様性をめぐる最近の話題
環境省自然環境局自然計画課生物多様性施策推進室長 牛場雅己 氏
2、生物多様性地域セミナー in 名古屋の結果報告について
名古屋市 環境局環境企画課主幹 山田好人 氏
3、連携事業の認定について
国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J) 道家哲平 氏
4、MY行動宣言5のアクションの展開について
一般社団法人CEPAジャパン代表 川廷昌弘 氏
優良事例
1、Web約款で日本の自然を守ろう!SAVE JAPANプロジェクト
株式会社損害保険ジャパンCSR・環境推進室 室長代理 山下智也 氏
2、マリン・エコラベルの取組と普及について
社団法人大日本水産会事業部 部長 木上正士 氏
3、徳島での生物多様性地域戦略の策定に関するプロジェクト
生物多様性とくしま会議事務局長 藤永知子 氏
4、海と田んぼからのグリーン復興プロジェクト
東北大学 岩渕翼 氏
5、生物多様性の主流化に向けた生物多様性・わかもの・ネットワーク の役割
生物多様性わかものネットワーク事務局長 後藤なな 氏
6、御所実業高校農業クラブSchool Gene Farm Project
奈良県立御所実業高等学校環境緑地科農業クラブ「生物多様性の保全」研究班東浦奈未 氏、宮本暉久 氏、吉田 宏 氏
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僕の発表は10分でppt20ページ分でしたが、何とか収める事ができたようです。内容は「MY行動宣言5つのアクション」の狙いとは、「生物多様性の主流化」=「生物多様性の自分ごと化」と捉えて、2つの視点から生物多様性を感じる事を、9月に閣議決定した「生物多様性国家戦略2012−2020」に基づいて整理して話しました。
「その1、都市生活と自然のつながりを感じる。」
国家戦略の基盤となる「国土の特性に応じたグランドデザイン」は、「流域圏」を一つのまとまりとして考えるとしている。奥山、里地・里山、田園、河川、湿地、沿岸、海洋、島嶼、そして都市、モザイク状の日本の風景、これを都市に暮らす人々と自然が本質的に繋がり合っているという「流域思考」として理解をするもの。
「その2、日常の暮らしの中で感じる。」
国家戦略は市民の役割として、旬のものを「食べよう」自然に「ふれよう」季節の変化などを表現して「伝えよう」文化や自然を守る活動に「参加しよう」環境配慮商品を「買おう」を、暮らしの中で行動に移して行くのが重要としている。
そしてこの宣言シートを活用したイベントが全国各地60カ所ほどで始まっており、約12,000枚が配布されているので、皆さんもぜひ活用くださいとくくりました。
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僕が圧倒されたのは奈良県の御所実業高校の発表です。これは大人の研究所と同様の活動ではないかと思うほどの専門性とボリューム、そして商業化など、その熱意と好奇心に参ってしまいました。奈良県は23時を過ぎると高校生は補導されてしまうという全国で唯一の自治体のため、とんぼ返りでお話する事ができなかったのは残念でした。
休憩をはさんでワークショップ。
そえぞれの発表内容に興味のある参加者の方がグループになってディスカッション。MY行動宣言5つのアクションは、今後多くの宣言を獲得して生物多様性の気づきを機会を増やしたいという要望に対して、多くのアイデアメモをたくさんいただき、グループも多様な方が来てくださってとても有意義な時間となりました。
アイデアメモをグループ分けすると、
1、イベントで活用できるツール
2、インセンティブを用意して宣言するメリットを作る
3、宣言だけでなく各地の課題に対して行動しよう
4、Facebook、インターネット、テレビCMなどで拡散
となり、これをもとにディスカッションすると、
1、配布場所に職場や学校を検討し、5つのアクションの意味を解説するリーフレットを作成しワークショップで理解を深める
2、現場を具体的に知って漠然とした5つのアクションに終わらせないように仕掛ける
3、気候変動問題やエネルギー問題など様々な問題とつないで考える事ができるようにする
4、自分ごと化を大切にしながら温暖化対策のクールビズのような社会ムーブメントを企画しライフタイルの変革を呼びかける
5、国会議員に国会で宣言させるなどキーパーソンやオピニオンリーダーを活用する
6、ターゲットを想定して様々なメディアの活用を効果的にする
というようなアイデアが出てきました。これは、全国ミーティングで得た、という事に意義があると思っています。このような発想で、「MY行動宣言5つのアクション」の展開を検討していきたいと思います。
夜は、横浜市環境創造局の皆さんの打上げに環境省の皆さんと参加して、このイベントが「超大成功」であったとお墨付きをいただき、充実感を共有する幸せな時間を過ごしました。もちろん、次のアクションを密かに共有する事も忘れずに。
クイーンズスクエアで開催されたヨコハマ環境行動フェスタ2012
ステージ脇に横浜市の日吉さん、ステージには河合さん、このお二人の尽力なしに語れません
クイーンズスクエアで「MY行動宣言5つのアクション」を実施、200名以上の宣言をいただいたようです
クイーンズスクエア屋外のヨコハマ環境行動フェスタのブース出展
生物多様性全国ミーティング冒頭の壇上
司会はFMヨコハマ番組パーソナリティMITSUMIちゃん、キャラクター宣言
真珠まりこさんの生物多様性リーダー任命式
圧倒された奈良県御所実業高校の発表
次回の開催地豊岡市のご挨拶
「MY行動宣言5つのアクション」ワークショップ結果