2018年09月17日

初めての屋久島 Yakushima Retreat

9月12日

何年も前から声をかけてもらっていた屋久島の本然庵。会社の先輩である中野民夫さんのリトリート拠点。会社に在籍されていた時は生物多様性を学ぶために一緒に動き、多くの知見とネットワークを共有していただいて大いに影響を受けた大切な先輩。

今回は中野民夫さん陽子さんご夫妻。中野さんのCIIS(カルフォルニア統合学研究所)大学院修士の先生だったパロマ・パベルさんとパートナーのリチャード・ペイジさん(愛称はクマさん)。中野さんの東工大の同僚である札野順さん、松崎由理さん。そして中野さんを慕い、ご本人たちも様々な活動の達人である素敵な女性たち。多田悦子さん、今堀洋子さん、松原明美さん、浦山絵里さん、栗原幸江さん。そこにパートナーの石本めぐみと一緒に参加させてもらった。

屋久島空港に到着し、まずは宮之浦にある環境文化村センターで屋久島の基本を学ぶ。最高峰は標高1936mの宮之浦岳で、年間平均気温8度の北海道から年間平均気温20度の屋久島までの日本の全ての気候が体感できる島。そして縄文杉に代表される時を刻み続ける命が育まれる島。奥が深い。

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小雨の屋久島空港

さて、お弁当を仕入れて春田浜海水浴場に向かい昼食。サンゴの岩礁にある大きなタイドプールが海水浴場。泳いでみると小さな熱帯魚の群れを見つけたり、屋久島の自然とのささやかなファーストコンタクトになった。天気も晴れ男ぶりはここでも大いに発揮。多分に多くの女性も晴れ女のようで、365日雨が降ると言われる屋久島で、滞在中に雨に降られることはなかった。

続いて、干潮時だけ入れる平内海中温泉に向かう。建物も何もない温泉。撮影禁止。かろうじての手ぬぐいを腰に巻いていたが、中野さんに誘われ温泉のすぐ横にあるタイドプールに向かうと、背後から牡蠣で切るぞ、とか切れたら後が大変だそ、という地元のおじさんの声。片手で手ぬぐいを持っていたがそう言われてはと、手ぬぐいを首に巻き両手を解放して岩場を歩いた。混浴で素っ裸。泳いで体を冷やしながら次々と寄せてくる波を楽しんでいたら、明らかに上げ潮で波が止まらなくなり急ぎ岩場に上がって温泉に浸るが、かなり海水が入り込んでいてぬるくなっていた。

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この先は撮影禁止

さて、本然庵。夕食をいただき片付けていたら星空がすごいという声。皆さんがシートを敷いて寝転がりながら天の川を眺めている横で、三脚を借りて息を殺してスローシャッターで撮り続けてみた。天の川が明るく見える南側と、モッチョム岳のシルエットを浮かび上がらせる北側と。星夜が迎えてくれた屋久島合宿初日。

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南の空に天の川を見上げる

その後、パロマさんのワークショップ。滞在中に、全員が10分で自分の「変革」と「エッジ」を語り質疑とパロマからのメッセージを受けるということになった。

9月13日

日の出前の5時半に起床。少し散歩して撮影。多くの方はヨガ。

今日はヤクスギランド。スタート前に全員が今の思いを一言&パロマからのメッセージ。150分コースをほぼ全員が歩くことに。

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千年杉の前で記念写真

案内図にある千年杉、ひげ長老、蛇紋杉、天柱杉、母子杉、仏陀杉はもちろん、名もない多くの巨木や切り株。圧倒的な被写体を撮影しては小走りで追いつき、先に出ては全員に抜かされ、なんとか屋久杉らしい写真を収めることができたように思う。しかし多くの時間で日差しが差し込みクリアでスッキリとした作品になってしまっているのが僕らしい。撮影した写真から立ち上がってくる細やかな時間という空気。

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ヤクスギランド

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仏陀杉の前でパロマさんと

本然庵への帰路、安房で窯を構える山下正行さんの埴生窯へ立ち寄る。本然庵の多くの食器はここの焼き物。山下さんに深いグリーンに仕上がっている器について聞いてみると、なんと窯の中にサンゴを入れて釉薬の代わりにしているという。その結果、青ともグリーンともつかない深い色に仕上がるという。土も屋久島の土だけだとサラサラしているので、周辺の島の土をブレンドしてこねているという。そして何よりも窯の周りには薪、薪、薪、薪だらけ。記憶が不確かなのだが確か3週間かけて3日間の薪を用意していると聞いた。全てが自然の恵み。思わず有難い授かりものだと感じ湯呑みを2つ購入。

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埴生窯の山下正行さん

さて今日は尾之間(おのあいだ)温泉。地元の人は町内会費を払っているので無料。来訪者は200円。浴槽の底は玉石。浴槽の周りに座り込み頭も体も洗い流す。温泉の温度は高いがぐっと癒される。「こんばんわ」と全員が挨拶。湯上りに脱衣所の古い写真をみていたら「いい湯だろう」と声をかけられ、「毎日入っているのですか?」「そうだなあほとんど毎日、夏より冬の方が温泉も温度が低くてゆっくり入れる。」「健康的でいいですね、羨ましいです。」

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尾之間温泉

今日はクタクタで写真の整理をしていたら激しい睡魔のままに眠ってしまった。

9月14日

5時半の日の出前に目覚ましもなく起床。中野さんが日の出を見に行こうと声をかけてくれ数人と出かける。とっておきの場所を教えてもらい撮影スタンバイ。モッチョム岳の稜線が海へと連なる雄大な風景に朝日が差し込む。まるで原始の風景。そんな風景の中、中野さんたちは朝日に向かって勤行。

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モッチョム岳の稜線が海へ

本然庵に戻って何人かはヨガ。僕は写真の整理。朝食後、本然庵のステージでパロマさんのワークショップ。予定をオーバーして語り合い。

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本然庵のステージ

今日は大川(おおこ)の滝に向かう。水量が多くダイナミックに落下した後はわずかな距離を川として流れ海に注ぐ水の姿を見ることができる場所。滝の前で思い思いに過ごし、浜に出てお弁当を食べて海や川で泳ぐ。クタクタになるまで過ごして戻る。

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大川の滝

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すぐ近くの浜

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島の周回道路の南側ではモンステラが自生していた

日没まで本然庵のステージでパロマさんのワークショップ。日没後におかずの買い出し。その合間に今日も尾之間温泉。夜はパロマご自身のストーリーを語る講演。

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本然庵の和室で熱唱

すぐ近くにお住まいの星川淳さんがゲスト参加されて感激。1997年に出版された「星の航海師」を読み、都市生活の自分には失われてしまっている人間の野生を、自然に添う現代の野生として教えられたと今になって思っている。それを星川さんにお伝えできたことは自分へのリマインドにもなり大きな出来事だった。

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感激の星川淳さん

今日もクタクタで11時ごろには睡魔に襲われるままに眠る。

9月15日

日の出前の5時半に自然と目が覚める。今日は一人で日の出撮影に出かける。とっておきの場所で構えていると中野さんがパロマさんや数人の人を連れて到着。昨日よりもドラマチックな朝日でダイナミックな原始の風景が目の前に広がる。その中を勤行する皆さんも撮影。

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モッチョム岳を仰ぐとっておきの場所で朝日に向かって勤行

今日は最終日のため汗だくになって大掃除。汗を流すために中野さんと素っ裸で本然庵の横を流れる川で泳ぐ。キンキンに冷たい川の水。しかし不思議と体の芯で暖かい体温を感じしばらく泳いでいられる。そしてステージでパロマさんのワークショップの仕上げ。戸締りをして空港に向かう。

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本然庵とモッチョム岳

我々二人は1泊延泊をするのでレンタカーを借りて空港から走り始める。行き先は白谷雲水峡。時間が限られていたので縄文杉に次ぐ樹齢3000年の弥生杉に会って戻ってきた。

平内のShizuku Galleryに向かう。ここで2人の指輪を作ってもらうためにジュエリー作家として活動している中村圭さんと会う。きっと思い出深い屋久島になると考えて事前にリサーチしておいた。このギャラリー、小さな納屋を中村圭さんとパートナーで画家の高田裕子さんが改築。2人のギャラリーが2部屋に分かれている素敵な空間。とっても理想的な移住生活をしているのが羨ましい。この平内は移住者が多い地域らしくとても伸び伸びと生活している感じが伺える。圭さんはサーファーで屋久島の波に馴染んでいるのも羨ましい。

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夢のようなShizuku Gallery

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中村圭さんと

日没となり圭さんに紹介してもらったボン・クラードに宿にチェックインしてから向かう。内装は屋久島の自杉。家具は全て自作。食事も屋久島牛が食べられる。島ではなんでも自分でできるようにならなきゃと若きUターンのオーナー。宿に戻ってシャワーを浴びて気持ちよくダウン。

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自杉の内装ボン・クラード

9月16日

今日は7時起床。8時に移動開始。西部林道を走って空港に向かい島一周となる。中間の河口でオーバーヘッドにブレイクして5人ほどで波乗りをしていた。立神あたりで遠く東シナ海の水平線を眺め雲の影が白く海面を照らすピカピカの風景に感動。

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西部林道から東シナ海をのぞむ

林道では等間隔で猿の群が座り込み車を全く恐れない。道沿いには鹿も多くいてここは彼らの土地であり人間は訪問者でしかないと実感する。口永良部島が浮かび噴煙がたなびく。永田地区に入り屋久島灯台に至る。点灯100年を越える味わい深い建築。

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屋久島灯台

屋久島の数少ない砂浜であるいなか浜に到着。とても綺麗な砂浜。日本一のウミガメの産卵地。アカウミガメ、アオウミガメ、マイタイ。昔多い時には一晩に何百匹も上陸したという。

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いなか浜

ランチはCafe Sea & Sun。美味しい玄米にカレー。そしてフレッシュジュース。オーナーの女性は種子島にも住んだことがあり、砂浜が多く住みやすい島だそうだ。一度行ってみたいと思う。屋久島の移住者は人口の40%。島の南の方が冬は1枚薄着で過ごせるようで移住者も多く、平内は移住者の方が半数を超えるらしい。

飛行機までの残り時間も少なくなったので急ぎ空港に走る。駐車場でレンタカーを返却。建物に入ると羽田行きが離陸した直後だった。生まれて初めて飛行機に乗り遅れてしまった。頭から時間を勘違いをしていた。次の便は満席で最終便に2席の空きがあった。これに合わせて鹿児島空港から東京行きを調べるとジェットスターの成田行きが取れたのでなんとか今日中に帰宅できることがわかり安心して空港近くの温泉で汗を流す。そのあと空港のレストランでトビウオ丼を食べて搭乗した。

屋久島の中で、自然と人、社会と人、人と人、そして自分と向き合うワークショップ合宿のようなリトリートと延泊。10分での自分語りでは、自分の弱みを自然と話せた。日本中の気候を感じられる島だから、何千年という時間も感じられる島だから、身の程を知り自分らしさに気持ちが向いたのだと思う。急に自宅の本棚を整理したくなった。海を眺める居心地のいいCafe Sea & Sunの本棚がとてもシンプルで深みを感じたので、僕を構成している要素をコンパクトに感じられる本棚にしたいと思った。

樹齢2610年の母子杉の前で中野民夫さんと
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