2016年09月19日

熊楠を思ふ。

来年、南方熊楠生誕150年の節目を迎える。

それを機に「ジャパニーズ・エコロジー」を考え発信したい。知の巨人の全てには迫れないけど、エコロジスト、アクティビスト熊楠の一面だけでも、日本の知恵が地球の持続可能な営みを続ける知恵であることを伝えたい。

自然共生社会の「コミュニケーション・デザイン」「教育ツール&プログラム開発」「普及啓発事業」をミッションとするプロボノ集団である、一般社団法人CEPAジャパンの主要活動の一つを推進するため、盟友の水野雅弘さんが考え至ったコンセプトを実現するために、理事有志による「南方熊楠探検隊」が揃って南紀入り。

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自称「ダブルまさひろ」水野雅弘さんと田辺湾で

南紀の海を見下ろす水野さんのオフィスでのディスカッションで、「警鐘」を鳴らした熊楠という水野さんの言葉から、「警鐘」が「継承」でもあるなと漢字変換してみたら、「形象」が出て来た。これは見えないものがカタチになって現れるという意味であり、まさに熊楠が考えていた「ロゴス」を越えた「レンマ」を意味し、「景勝」は風景であり、熊楠は天然風景は「わが国の曼荼羅」と言った。この4つの「KEY-SHOW(けいしょう)」=「警鐘」「継承」「形象」「景勝」を考えていきたいと整理をしてみた。水野さんとのディスカッションはいつも相性良くテンポ良くアイデアを重ねていく刺激がある。

その後、「み熊野ネット」を運営する熊楠の研究者でもある大竹哲夫さんの講義のあとのディスカッションで、神社合祀の反対運動で柳田邦男に記した「南方二書」で熊楠が挙げた8つのポイントもこの4つの「けいしょう」に収斂されることが創造できた。この8つのポイントは今年の南方熊楠賞を受賞された中沢新一さんの「熊楠の星の時間」でも記述されているが、

1、神社合祀は敬神の念を薄くする
2、神社合祀は民の融和を妨げる
3、神社合祀は地方を衰退させる
4、神社合祀は国民の慰安を奪い、人情を薄くし、風俗を害する
5、神社合祀は郷土愛、愛国心を損なう
6、神社合祀は土地の治安と利益に大きな害がある
7、神社合祀は史蹟と古伝を滅却する
8、神社合祀は天然風景と天然記念物を滅亡する
の8つので、これを伝えようとした熊楠の気持ちを踏まえた4つの「けいしょう」。

この神社合祀の反対運動で熊楠が掲げた「エコロギー」という言葉。熊楠は100年も前の明治の世で、「3つのエコロジー」つまり生態系のバランスが守られた「自然のエコロジー」の維持のため、人間社会のバランスである「社会のエコロジー」に目を向け、それが「精神のエコロジー」の健全を守るという連鎖を見ていたという記述も「熊楠の星の時間」にある。

さらに、「風景を利用して地域の経済の繁栄が得られる工夫をせよ」と言い、「風景と空気が金儲けになる」と、地域にある自然や文化的資産が観光産業の資源になると考え、持続可能な風景を維持した地域を未来に託そうとしたのではないかと、大竹哲夫さんの講義の中から知った。

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大竹哲夫さんとのディスカッション

そんなビンビンと精神に響く話の後に打合せのために訪ねた南方熊楠顕彰館。敷地内には熊楠の住んだ家がある。建物を見た瞬間に、魂が呼ばれるように本能のままに建物に近づき一気に童心に還って撮影に没頭してしまった。顕彰館の皆さんも閉館時間が近いから先に見学をどうぞと笑顔。「おお」と声を上げながら、熊楠がここに確かにいたという光と風を感じながら一人興奮のままにシャッターを切った。

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熊楠の書斎

その後の会議で、150周年事業の構想アイデアを聞かせていただき、自分たちが何がしたいのかの想いを伝え、今後も意見交換と恊働の可能性を得た。自分たちのスキルとアイデアを最大限に提供させていただきたいと考えている。熊楠が100年前に、景色と空気が金儲けになると言った事の本質を学び、コミュニケーションデザインしたい。いろんな方と形にできたらと思う。

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南方熊楠顕彰館での打合せ

2月に熊楠を思って水野さんと一緒に中辺路を巡ってから半年。熊楠関係の本を読んで妄想はしていたがいよいよ始動。

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大竹哲夫さんと本宮で

水野さんと構想している事の第一歩として、大変に幸運で光栄な事に大竹哲夫さんが構想している「熊楠本」出版に向けて写真家として恊働させていただく事になった。大竹さんが本の中でガイドを考えている33カ所全ての撮影。そのために年内に3回撮影の予定を立てている。メール等でやり取りをしているが、その都度、興奮のボルテージが上がっていっている。CEPAジャパンの活動で、写真家として機能できるのは今の自分には一番幸せなことかも知れません。

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継桜王子

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熊楠を思ふ。


posted by 川廷昌弘 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする