2016年06月06日

東北の海岸林 5 浜昼顔と潮騒

例年より早く訪れたハマヒルガオの季節。先月の撮影で撮りこぼしたポイントに向かう。6月4日(土)に南三陸で会議を行ったので、せっかくの機会を活かしレンタカーで南下する事にした。

6月5日(日)

石巻の渡波海水浴場から開始。アメリカの写真家Robert Adamsの手法に刺激を受けて追加撮影。続いて七ヶ浜に向かう。浜沼の小さな浜辺。沖にテトラが入っているのが残念だけど、スネほどの段差が堤防のようになっているだけで松並木に守られた素敵な景観。足元にはハマヒルガオ。七が浜の正面は既に防潮堤で海は見えないが、高い目線の眺望は広い砂浜が広がり一安心。

仙台南港の波乗りポイントを初めて眺めてから蒲生干潟周辺。広い広い長い長い砂浜。ここには防潮堤はない。人知れず一面に広がるハマヒルガオと、播州高砂が由来の高砂神社の老松の松韻。思わず目を閉じる。海辺にあるべきものがそこにある安堵感。平時の営みが戻ることを祈る。そして夕暮れの荒浜に着く。貞山堀の遥か向こうに広がる砂浜、その波打ち際に防潮堤の建設が見える。海が見える状態を写真で残す。

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荒浜の夕暮れ

これで、青森の三沢市から茨城県の北茨城市まで約550kmほぼ海岸線で走破した。下北半島の尻屋崎から南下し、三沢の海岸で津波の爪痕を見つけたのでここを起点とし、岡倉天心の六角堂が津波後に再建した事をきっかけに、日本美術院の志から想起するものがありここを終点として撮影エリアと定めている。これで、このシリーズのフレームが浮き彫りになったと感じている。今後は情緒とメッセージを付加する補足撮影になるのかなと思う。鳥の海の脇にある「わたり温泉」で疲れを癒し閖上浜で車中泊。

このシリーズとは、2009年に新宿と大阪のニコンサロンで発表した「松韻〜劉生の頃〜」の東北版になる。湘南のシリーズもコツコツ継続しており並行して撮影している。湘南のシリーズでは松のある風景が与えてくれる感性を過去に遡り、東北のシリーズでは感性を未来に残すことを表現できたらと思案している。ハッセルブラッドに80mmの標準レンズ1本だけでモノクロフィルムで撮影するという根気のいる作業。さてはてそんな理屈が実現するのかどうか、どれだけ時間が要するのか、自分を信じてやりたいと思う。

6月6日(月)

朝5時起床。曇天だが雲の切れ間から太陽。朝日に照らされる海の撮影。ハマヒルガオやハマボウフウも咲く浜辺は花園。天気予報は一日曇天だが、少しでも晴れてくれることを期待して常磐道を双葉海水浴場に向けると、山沿いを走るからか段々と雲が重たくなり雨が降ってきた。海側に目をやると空は明るいので、きっと大丈夫と諦めずに先を急いだ。

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閖上の浜

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閖上の浜昼顔

福島第一原発に最も近い海水浴場。先月に初めて訪れ引き込まれた撮影イメージの象徴的な場所。間もなく工事に入りそうなので最後の撮影チャンスだったのかも知れない。広い砂浜には誰の足跡もない。人工物は壊れ、その上に砂や草がゆっくりと覆っている。このまま活用したら良いのにとつくづくと思う。そんな想いのままに撮影。すると段々と青空が広がりいつの間にか夏色の砂浜と海。

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双葉海水浴場

続いて先月に辿り着けなかった撮影ポイントに向かう。富岡駅のすぐ近くの海岸。福島第二原発の煙突から出る水蒸気が見える。立ち枯れた松。壊れた堤防。海辺の原風景がここにはあったのだろう。そこに海を隠す防潮堤の建設。海岸のすぐ近く草に覆われた線路も撮影。

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富岡の堤防

楢葉町の本釜の海岸。大きな玉石と打上げられた松が目立つ。砂浜はきめが細かい。ハマヒルガオも遠慮がちに咲いている。しばし佇む。

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本釜の浜

次に広野火力発電所の脇の岩沢海水浴場。車を止めて松に囲まれた階段を降りると発電所に添ってブレイクする波にサーファーが一人占め。小さな海水浴場だけど、子ども達の歓声が聞こえてきそうな印象深い場所。続いて広野の大きな海岸に出たが、防潮堤工事の内側に法面が異様に広く高さのある道路工事。ここで補足撮影が突然に終了。まだモヤモヤするので楢葉町の本釜の海岸に戻って撮影に没頭した。17時を過ぎて今回の撮影終了。最後まで太陽が付き合ってくれて晴れ男の面目を保てた。

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岩沢からの眺め

ここから一気にいわき駅に向かう。iPhone地図アプリで検索すると大きく迂回する県道35号線が常磐道と大差なく着くと示すので走ってみた。山間部や里山風景を抜ける素敵なドライブコースで車窓を楽しみながらいわきへ。レンタカーを返し特急ひたちに乗って帰路につく。

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本釜にて。


posted by 川廷昌弘 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | エコロジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする